こんにちは、カルロス工務店のカルロス(@crls1031)です。
先日、不動産投資家Aと商談をしました。
商談の中で、水回り・内装の適切な交換サイクルについて話がありました。
不動産投資家の主張と僕の考えていたことに乖離があるな、と思いましたが、うまく説明することができませんでした。
僕自身改めてちゃんと理解しなければならないと思ったので、ここにまとめていきます。
Contents
投資家Aの戦略:郊外・ファミリー層・駐車場付き
投資家Aさんは、築年数が経った郊外のRC造のマンションを中心に仕入れています。
ターゲットは子育て世帯で、都心に通勤できる範囲内の「駐車場付き」の条件を重視されていらっしゃいました。
理由は人口の都市一極集中によるベッドタウン需要の向上は避けられない、というものです。
さらに子育て家庭のために生活が固定されるため引っ越すリスクが限りなく低くなります。
ゆえに、現在所有されている物件の空室率はわずか数%という非常に優秀な数値を叩き出されていました。
すばらしい投資戦略だな、とシンプルに感じておりました。
疑問:リフォームによる家賃UPと水回りの交換時期について
彼はこういった主張もされていました。
「リフォームをしても、家賃はせいぜい2万円程度しか上がらない」
「水回り設備を交換しても、投資金額を回収する頃には、また交換が必要になるから投資するだけ無駄」
ふむふむ、と商談中には聞いてしまいました。
けれども、それははたして本当にそうでしょうか?
水回り設備の交換目安と注意点
以下に僕が調べた水回り設備の交換時期についてまとめます。
| 設備 | 交換目安 | 理由・注意点 |
|---|---|---|
| キッチン | 約15〜20年 | 経年劣化による扉・天板・水栓の傷み、設備の陳腐化(換気扇・コンロ・収納機能など) |
| 浴室(ユニットバス) | 約15〜20年 | パネルの劣化、水栓・排水口・防水機能の低下。交換時は防水パンや配管も見直すことが多い |
| 洗面化粧台 | 約10〜15年 | 経年で扉・ボウルの傷みや排水金具の腐食が出やすい |
| トイレ | 約10〜20年 | パッキンや便器の水漏れ、洗浄機能の故障、節水型への更新需要など |
| 給湯器 | 約10〜15年(都市ガス) | 寿命を過ぎると突然の故障が多く、先行交換が望ましい。マンションでは管理規約上、統一機種が指定されることも |
だいたい15年をめどに考えておけばよさそうです。
長くても、20年は交換のタイミングでしょう。
内装の更新タイミングとポイント
一方で内装の方はどうでしょうか。
内装は見た目の印象を左右する大切な要素です。
特に賃貸物件では、退去時にクリーニングや貼り替えを行うのが一般的です。
| 項目 | 更新タイミング | 理由・ポイント |
|---|---|---|
| 壁紙(クロス) | 退去ごと(5〜10年目安) | 汚れ・黄ばみ・剥がれが出やすい。特に賃貸では退去時クリーニング+貼替えが基本 |
| フローリング/CFシート | 約10〜15年(または退去時の状態に応じて) | 床の傷・めくれ・劣化で交換。CF(クッションフロア)は比較的短命(5〜10年) |
| 畳・襖 | 5〜10年 | 和室がある場合は表替え・貼替えなどを定期的に |
基本退去ごとに検討すれば問題なさそうです。
AIに該当物件を賃料査定させてみた[11.2万円]
続いて、今回リフォームを考えられていた物件に関して、AIに賃料査定をさせてみました。
今回は狛江市にある物件での相談でした。
上記の通り、まさに郊外・ファミリー層・駐車場付きの物件です。
AIの診断によると11.2万円が妥当のようでした。
競合となりうる物件をホームズで検索してみた
当該物件は築38年、53㎡、駐車場付きのRC造のマンションです。
この周辺の物件情報をホームズを使って調べてみました。
検索する際に、以下の4点を条件としました。
- 床面積50 – 60㎡
- RC造
- 駐車場有
- 国領駅徒歩15分
すると以下の5件が該当しましたので、情報をまとめていきます。
① メゾンベルアネックス / 家賃12万円(共益費込み)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 家賃 | ¥113,000 |
| 共益費 | ¥7,000 |
| 築年数 | 33年 |
| 床面積 | 55.8㎡ |
| 間取り | 2LDK |
| 立地 | 国領駅 徒歩14分 |
| 敷金 / 礼金 | 1ヶ月 / 無 |
② アリアソワン ボヌール / 家賃16万円(共益費込み)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 家賃 | ¥150,000 |
| 共益費 | ¥10,000 |
| 築年数 | 14年 |
| 床面積 | 55.15㎡ |
| 間取り | 2LDK |
| 立地 | 国領駅 徒歩8分 |
| 敷金 / 礼金 | – / – |
③ プレイアデ調布 / 家賃17万円(共益費込み)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 家賃 | ¥155,000 |
| 共益費 | ¥15,000 |
| 築年数 | 19年 |
| 床面積 | 51.88㎡ |
| 間取り | 2LDK |
| 立地 | 国領駅 徒歩9分 |
| 敷金 / 礼金 | 1ヶ月 / 1ヶ月 |
④ ピュアクレスト / 家賃16.9万円(共益費込み)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 家賃 | ¥160,000 |
| 共益費 | ¥9,000 |
| 築年数 | 23年 |
| 床面積 | 55.8㎡ |
| 間取り | 2LDK |
| 立地 | 国領駅 徒歩3分 |
| 敷金 / 礼金 | – / – |
⑤ セピアコート / 家賃11.55万円(共益費込み)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 家賃 | ¥110,000 |
| 共益費 | ¥5,500 |
| 築年数 | 31年 |
| 床面積 | 56.7㎡ |
| 間取り | 2SLDK |
| 立地 | 国領駅 徒歩11分 |
| 敷金 / 礼金 | 0.5ヶ月 / 無 |
競合の5つの物件を比較してみた
5つの物件の情報を一つの表にまとめます。
| 項目 | 当該物件 | ① メゾンベルアネックス | ② アリアソワン ボヌール | ③ プレイアデ調布 | ④ ピュアクレスト | ⑤ セピアコート |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 家賃+共益費 | – | ¥120,000 | ¥160,000 | ¥170,000 | ¥169,000 | ¥115,500 |
| ㎡単価(家賃+共益費) | – | 約2,151円/㎡ | 約2,903円/㎡ | 約3,277円/㎡ | 約3,029円/㎡ | 約2,037円/㎡ |
| 家賃 | – | ¥113,000 | ¥150,000 | ¥155,000 | ¥160,000 | ¥110,000 |
| 共益費 | – | ¥7,000 | ¥10,000 | ¥15,000 | ¥9,000 | ¥5,500 |
| 築年数 | 38年 | 33年 | 14年 | 19年 | 23年 | 31年 |
| 床面積 | 53㎡ | 55.8㎡ | 55.15㎡ | 51.88㎡ | 55.8㎡ | 56.7㎡ |
| 間取り | – | 2LDK | 2LDK | 2LDK | 2LDK | 2SLDK |
| 立地 | 国領駅 徒歩18分 | 国領駅 徒歩14分 | 国領駅 徒歩8分 | 国領駅 徒歩9分 | 国領駅 徒歩3分 | 国領駅 徒歩11分 |
| 敷金 / 礼金 | – / – | 1ヶ月 / 無 | – / – | 1ヶ月 / 1ヶ月 | – / – | 0.5ヶ月 / 無 |
AIによる査定では想定家賃が11.2万円でしたが、これは一番低いレンジであることがわかりました。
原状回復はもちろん、間取り変更などの提案具合では、十分に家賃アップを狙える物件だと分析できます。
3つのプランを提案
家賃の上昇余地があることが分かりましたので、提案に移ります。
Aプラン(原状回復・総工費20万円)
AプランはB・Cのプランとの比較のため、原状回復の工事を想定しています。
Bプラン(3DK・総工費390万円)
こちらがBプランです。
現状、洗濯機が室外にあるためそれは居住者にとっては望ましくありません。
ゆえに、洗面室の一部壁を解体し、室内を拡張することで、室内に洗濯機を置けるようにしました。
畳を撤去し、フローリングにすることで和室の洋室化をすることはマストで行います。
もともと押入だった収納は、建具設置するコストを抑え、オープン型の収納スペースにしております。
Cプラン(2LDK・総工費460万円)
こちらがCプランです。
Aプランをベースに広いLDKを確保するために、間仕切り壁を撤去しました。
広いリビングスペースはとても人気があり、Aプランよりも家賃アップを狙える間取りとなりました。
投資回収の収支シミュレーション
以上で3つのプランを解説しました。
A:20万円、B:390万円、C:460万円ほど工事費用がかかる想定です。
これらの工事費用をかけると、家賃が
- Aプラン:11.2万円
- Bプラン:12.5万円
- Cプラン:13.5万円
になるという想定をします。
競合の情報も載せましたが、これは十分に実現可能な水準、むしろ上振れも望めるレベルだと思っております。
以下にリフォームに工事費をかけて、長期投資する際のシミュレーションを載せます。
1. 家賃ダウン率2%の場合の家賃推移
家賃ダウン率を2%とした場合の3つのプランの家賃想定です。
2. 3つのプランのシミュレーション
以下に3つのプランを実施しした場合の初期投資、長期回収シミュレーションです。
2-1. Aプランの収入-支出
Aプランの場合の収入ー支出のシミュレーションです。
2-2. Bプランの収入-支出
Bプランの場合の収入ー支出のシミュレーションです。
2-3. Cプランの収入-支出
Cプランの場合の収入ー支出のシミュレーションです。
3. 3つのプラン比較
以上の3つを比較してみます。
3-1. 3つのプランの比較シミュレーション
3つのプランを比較したシミュレーションです。
14年目にして、初期費用をかけたCプランの方が、初期費用を書けなかったAプランよりも逆転していることがわかります。
3-2. Aを0とした場合の差額
Aプランを0とした場合で見てみます。
14年目で逆転現象が起こっているのは上記と同様ですが、20年目地点で160万円もの資金差が出ていることがわかります。
まとめ:長期的に見れば初期にしっかりリフォームした方が得
シミュレーションから見れば結論として、初期費用をしっかりかけて家賃アップをしたほうが長期的には潤うことがわかりました。
なので、最初にケチってリフォームに費用をかけないのではなく、長期的にメリットを得られるようにしっかりとリフォームすることをお勧めします。
また、水回り設備に関しては退去時に毎回リフォームする必要はなく、15-20年は耐用年数があります。
20年で手元資金に160万円も差が出ますので、それを元手に再度水回りを更新する工事を検討することも可能です。
これはリフォームを提供する工務店からのポジショントークに過ぎないと見えるかもしれませんが、データとして出ています。
ぜひ反論などございましたらいつでもご連絡ください。
西多摩エリアのリフォーム工事はカルロス工務店へ
あきる野市・日の出町・青梅市など、西多摩エリアはもちろんのこと
呼ばれればどこへでも飛んでいく所存です!
現地調査・お見積もりは無料ですので、お気軽にご相談ください。



